肢体不自由養護学校での実践(1994年)

 1994年5月のMac ClassicIIの実践について。

 まず最初、どうもA君は「はじめます」と言っているようです。私にはわかってないですね。私が難聴であったこと、それとセンスが無かったのかも。

 しかし、それはそれでいいかと思います。もちろん私がすごくセンスがあればそれはそれでいい。しかし世の中には無い人もいる。そういう人にでもわかる方法で伝えるようにならなければそれはコミュニケーション手段と言えませんから。また「A君がしゃべれる」「音声言語で会話できる」という報告は聞いたことがありませんでしたから、他の先生方にとっても彼の音声での会話はわからなかったのだと思います。

 今回は、1点スイッチにして、ソフトが1入力するたびに順番に画面がかわりまた元に戻る、いわゆるトグル型ソフトにしています。

 最初のほうは、いわゆる「お勉強」ではなく、本人の気持ちを表現してもらいたい、という思いでやっています。

 もともと彼はタイガースファンなのですが「タイガース昨日勝ったか?」と尋ねても「アーーッ」と大笑い、
「タイガース昨日負けたか?」と尋ねても「アーーッ」と大笑い、ということで、わかっているのかわかっていないのか、よくわからなかったのです。

 この授業の場合、前の授業の時に「にこにこマーク」「しかめっ面マーク」が交互に出てくるもので、「嬉しい、楽しい、好き」「嫌だ、嫌いだ、面白くない」などを伝えて欲しい、という授業をやっていて、彼自身の操作で、そこそこできました。

 そこでこの時は初めてその横に「□が6個(多い)」「□が2個」少ないを同じ画面に出し、「すごく嬉しい」「ちょっと嬉しい」「ちょっと嫌」「すごく好き」を表現してもらいました。彼は、前日タイガースは勝ったのですね。だから「すごく嬉しい」で止め、「これだよ」というふうに「アーーッ」と声を上げてくれています。

 なお、これ以前から角材を並行に並べて固定し隙間を作り、そこに「にこにこマークカード」や「しかめっ面マークカード」を立てて(イメージがわくでしょうか?なんか写真でも示した方がいいかな。今iPhoneやAndroid携帯を手で持たずに机の上にたてて置ける台がありますが、ああいうふうに立てるイメージです。あんなふうに傾いてはおらず、もっと垂直に立ちますが)表現したいカードを選ぶ、という学習はやっていました。
 
 で、そういうのがあって後のパソコン利用なわけです。(もちろんお子さんによってはいきなりパソコンっていう使い方がいい場合もありますが)

 ところで、私はA君とこの場面以外にも、このシステムで彼といろんなやりとりをしました。であるタイガースが負けた翌日は、彼は大笑いしながら「すごく嫌(悔しい)」の絵を出してくれました。そらそうですね。私だって「昨日タイガース負けよった」と笑いながら話しますもんね。笑いながら「ちきしょう」みたいな。

 なお、確か中日にタイガースがボロ負けした時、「今の気持ちは」と尋ねると「すごく嫌(悔しい)」だったのですが、「じゃあ中日についてどう思う?」と尋ねたら、何度尋ねても「少し嫌(嫌い)」で止めました。なんか「こいつええやっちゃなあ」と思いました。

 後半は「フォアボールだから4を出してよ」というかなり強引な展開ですね。彼が「4」で止め「これだよ」というふうに「アーーッ」と言っているのがわかります。

 A君は中学部に進んでから電動車イスの操作の授業も受けるようになりました。(なぜか小学部では電動車イスに乗る授業って彼に限らず当時は無かったですね。・・・そんなもん乗るより訓練して歩け、という世界でしたから)ただし、車イスからスイッチボックスのついた長い電線が出ていてそれを教師が持っており、いつでも緊急停止できるようにしてですが。実際、彼はよく壁に激突していましたし、その後、私はいなくなったので実用になったかどうかは知りません。

 でもそんな授業をやってみようと思って下さったのは、彼がスイッチを操作し、いろんなことがわかっているんだ、というのを見ておられたからこそだと思います。

 なお、同じようなことを今実現するなら、スイッチ部はジェリービーンスイッチを使い、スイッチを支える部分はスイッチアームなどを使うかな。写真とリンクはAT2EDから。